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このサイトではよく書く四人の一人だし、誕生日ぐらい祝ってやろうかな…、ということで土方さんのハッピーバースデー小説を超特急でこさえました。

でもあんまりハッピーじゃないです。
誕生日じゃなくてもよさそうな小説です。
急いで作った感が否めないです。
っていうか丸分かりです。

それでもいいと言う方はどうぞ…。
あれ?私って土方さん好きなはずなんだけど…?

 


世界の中心で、たこやきを食う (タイトル)(やっつけ)


高く上がるこいのぼりに見下ろされて、俺は一つため息をついた。

近藤さんが気を利かせて誕生日休暇をくれたはいいが、今俺には趣味もないし恋人もいないしやりたいことは週末に無理矢理済ませてしまったしで、まぁつまり現在篦棒に暇だ。
最近仕事ばかりしていて、確かに近藤さんの言う通り自分の時間というものを作っていなかった。別にそれが苦痛ではなかった、というか寧ろ何かに打ち込み続けた方が楽であったので、作ろうともしていなかった。
近藤さんに自分を省みろ、と言われたものの、こうも使い道の分からない時間をぽんと与えられても、『省みるって、何を?どこから?』と途方にくれるばかりであった。

はぁ、と本日何回目か分からないため息。
普段仕事をしている時より回数が多い気がする。頭の中が何かでいっぱいになっているときの方が、精神的に楽だ。何をすればいいかなんて考える必要がなく、ただ目の前の問題を片付けていけばいいからだ。ひたすらに、黙々と。

とりあえず屯所から出れば何か興味を引くものが有るかもしれないと来てみたものの、やはりすることが分からないままだ。
ベンチに深く座り直して、煙草をくわえる。隣の公園を見遣れば、子供等が走り回っている。今日はなにやら大人も多いな、と思ってすぐに、今日が旗日であることに気付く。そうだ、特別俺だけが休みというわけではないのだ。

どうしようか。もう、屯所で不貞寝でもしていようか。
そう思って、煙と同時にため息を吐いて空を仰いだとき、聞き覚えのある声が響いた。

「あれ、珍しいですねぃ。こんなところで土方さんが煙草ふかしてるなんて」

振り向くと、その声の主は団子とジュースとポップコーンと…、他にも沢山の菓子や袋を器用に抱えて立っていた。
仕事中に何やってんだこいつは…。呆れながら無言で睨むと、そいつは悪びれもせず「あ、何か食べます?」と林檎飴に齧り付く。口の周りに付いた赤色など気にせずに。

 

「で、何やってんのお前は」
「向こうに屋台が出てたんです。近くの小さい神社で祭りをやってたみたいで」
「答えになってねぇよ」

総悟は俺の隣に腰を降ろし、その両手に持っている数々の飲食物を着々と片付けていく。
淀みなく動く手付きを見ると、まるで食べる順番が始めから決められているかのようだ。悩む様子も無く、手を次々と伸ばし、それを口へと運ぶ。特に表情を変えるでもなく、感想を述べるでもなく。

「土方さんこそ何やってんですか、隊服も着ずに。サボり?」
「お前と一緒にすんな。近藤さんに休みもらったんだよ」
「ふーん」

もしゃもしゃと咀嚼を続ける総悟は、口いっぱいに物を詰めて話し辛そうに見える。というか、食べるのに忙しくて話す事が億劫そうだ。面倒なのかもしれない、食事中に隣に人が居るということが。
つーか、こいつ仕事中じゃねぇか、というツッコミはどうでもよくなっていた。もうする気も起きなかったのだ。
いいなぁこいつは好きな事を好きな時に出来て。そう思いながら凝った首をぐりぐり回していた、その時。総悟の言葉が耳に入った。
休みと言う割には、楽しそうじゃないですね、と。

俺は反射的に総悟を見る。総悟はこっちを見ていない。真っ直ぐと、ちょうど噴水の辺りを見つめる。恐らく、噴水の周りで駆け回る子供たちを。
俺はそれが、その目から何も読み取れないことが何だかとても寂しくて、その横顔を見つめ続けた。
…後から思えば、何も分からなかったのは俺の心のせいだった気がする。

「俺は毎日やりたいことが沢山あって、それをやりきらないうちに毎日が終わってしまう。そうやって出来なかったことを休みの日、自由な時間にやる。やりきって、ああ休みが終わってしまうという寂しさを味わいながら、その寂しさと同時に満足感に浸りながら、日常へと戻っていく。それの繰り返し。悔いた事はない。毎日が楽しさと充実感で満たされているから。土方さんにはそれがないんですか。仕事に追われて感情さえ亡くすんですか。それは違うと思います。何か求めるものが無い限り、人生なんて無いに等しい」

総悟は、早口でそう述べた。そして今度は食べるために口を動かす。俺と総悟の間に無雑作に置かれている、まだ鰹節が揺れているたこやき。そのたこやきがとても美味しそうで、また総悟がとても美味しそうに食べるので、俺はたこやきで頭がいっぱいになる。

本当は、それはサボリの理由にならないとか、もっと仕事してから言えとか、俺は感情を亡くしてはいないとか仕事を一番にして何が悪いとか代わりに俺が求めるものを見つけてくれよとか近藤さんがとか真選組がとか人生なんてそんな難しいものを簡単に言わないでとか俺が総悟を羨むことは間違っているのかとか、沢山沢山言いたいことがあった。

でもたこやきが美味しそうだったので、それは言わなかった。


いつも隊服のポケットに忍ばせている携帯用マヨネーズを持ってこなかったことを悔いながら、たこやきの一つを口に運ぶ。
久しぶりだ、たこやきなんか食うの。マヨネーズがこんなに少ない料理を食うのも。

「あ、勝手に食うなよコノヤロー窃盗罪でしょっぴくぞハゲ」
「ハゲてねーよ。いいだろうが一個ぐらい」

横暴だなんだとぶつぶつ零す総悟を無視して、たこやきを味わう。
こいのぼりは相変わらず空を泳いでいる。今日は快晴だと、今気付く。

あぁ、じゃあそれが誕生日プレゼントってことで。

思いついたように総悟が言う。
こいつにしてはマシなプレゼントだ。俺は有り難く受け取った。ひっそりと感謝した。



おわり。


うん…。土方さん…幸せになれるといいね…!(お前が言うな)
 

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